ロゴの制作は、個人的にはとても好きな仕事です。
クライアントさんからの要望を聞き、それをさらに想像をめぐらせていろいろな方向から焦点を合わせていきます。
以前、依頼のあったロゴ制作では、源氏香の図(げんじこうのず)をモチーフに制作したことがありました。
組香(くみこう)と言って、お香をいくつか焚いて、なんの香りの組み合わせなのかを当てるということを遊びにしていたそうです。桃山時代くらいからあったそうです。
その遊びの中で、5つの香りを嗅いで、5本の縦線を組み合わせて、どの香だったかを記す時に使われていた記号のようなものが『香の図』です。
香りの組み合わせから、それぞれに意味付けもしていて、『常夏』や『乙女』などの名前もつけられてたりします。香りから他の何かに例えるなんて、粋な遊びですよね!
これを知ったとき、そんな粋な遊びを楽しんでいたことになぜかとても羨ましく思ったのと、感銘したというのがデザインに反映させた正直な背景なのですが、和の趣や、その遊び心など、クライアントさんからの要望と一致すると直感で思ったこともデザイン案として提案した決め手でした。プレゼンで、いくつかの資料も用意したのですが、こういう時のデザイン案は、決まってトントン拍子に決まっていきます。初回のデザイン案で、一発採用となりました。
この香りを楽しむ遊びですが、茶道や華道のように『香道』として文化の一つになっているんです。ちゃんと流派もあって、現在でもその美しい文化は続いています。
京都で体験できるところがあるそうで、一度足を運んでみたいと思っています。